「これでも高速区間が延びて随分便利になったんですよ」
高速を降り、峠を越え、右手に山、左手に海を見渡せる1本道を走り続けた先にある
高校、木本高校に足を運んだのは昨年の6月。熊野市ラグビーフェスティバル
(第1回高校ラグビー大会熊野市長杯)でした。
地域的に見ると練習試合へ出かけるにも近隣で確か2時間弱(記憶違い
だったら申し訳ありません><)。東海4県の中で、決して恵まれている
とはいえない環境でありながらも、ラグビーを絶やさないようにと地元を
はじめ多くのOBが情熱を燃やし続ける中、今年のチームはジュニア時代から
のびのびと育ってきました。
地元密着といえば、こんな光景も。木本高校グラウンドで行われる練習試合を
近所のおじいちゃん、おばあちゃんが、
「今日はどこが来るの?」
と、「何をやっている」のではなく、対戦校を聞く。ちょっとした風景からも
ラグビーが地域に根付いている証だったりして。
22年ぶりの花園は、僅差で1回戦を突破し進んだ2回戦でBシードの伏見工と対戦。
前半開始から伏見工の攻撃を木本の持ち味、低いタックルと粘り強い
ディフェンスで耐えていたものの、攻守の要であるFL立嶋の負傷退場も響いたのか、
前半はノートライ。それでも後半、リズムを掴んだ中から小柄なフォワードが
まとまりを見せ1本返し、ノーサイド。彼らの花園が終わりました。
試合後の大徳先生。
「伏見工さんのプレッシャーがきつく、今ひとつうちの力を出すことができませんでした。
ただ、後半残り10分、少しだけどリズムができてトライに繋がった。FL立嶋が
早い時間で抜けたのは非常に痛かったけど、リザーブがよくがんばり、
それぞれが貴重な経験をしたと思う」
德永京將主将
「最後のトライは1年間、小さなフォワードががんばってきた証。本当に
感謝しているし、取り組んできた継続の形を出せてよかったと思う。花園は
憧れの舞台。三重で優勝でき、ほんの一握りしか来ることができない場所で
1勝できたことは嬉しいです。後輩にはがんばってもらい、全国の舞台に
立って欲しい」
杉谷賢吾副主将
「ディフェンスの時間が長く、ミスも多く自分たちのペースをなかなか掴めません
でした。1本返したトライは一丸となったトライ。木本ラグビー部にとって
自信、そして財産になると思います。今の2年生は1年生大会(三重県は
秋に1年生だけの大会がある)で優勝をしている。新チームで、がんばりを
継続して、他のチームより一番努力をして、僕らの代を越えて欲しいです」
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大徳先生が今春、定年をむかえるというのをお聞きしてから2年。「この子らに、
花園へ連れていってもらえたら」、なんて話をしていただけに、今年の出場は
感慨深いものがありました。
「最後の最後、大きく描いていた夢。木本らしいゲームはできたと思う。
子供たちには・・・・・・。『ありがとう』、そう声をかけます」
そっと目頭をぬぐった大徳先生。
「熱心でいて温かい。そんないい環境でいいキャプテンをはじめ素晴らしい
仲間と一緒に、かけがえのない時間を過ごすことができた。僕にとっての
木本ラグビー部は、そういうところ。本当に感謝しています」(杉谷選手)
花園へ行って欲しい、そう願っていたチームですが、6月のフェスティバル時は
どことなーくのんびりしていた気が。伸び悩んでいないか、そんな声も聞こえてきた秋。
県決勝前日、緊張とプレッシャーに思わず、部屋の片隅で泣いていた選手たち。
まだまだだなーと思っていたチームは、花園という大舞台で1勝をあげ、
果敢にシード校へぶつかり、多くの感動をくれました。
「もう1回。帰って鍛えなおしたい」(大徳先生)
もう1回。いや、1回と言わず、2回でも3回でも、何回でも、ここ花園に帰っておいで。
東海4県の中、私の家から一番遠いけど、一番感動をいただいた木本ラグビー部の
皆様には本当に感謝。ありがとうございます。
三重も新人戦がはじまっています。シード校(木本、四日市農芸、四日市工業、
朝明)の登場は1月30日(降雪の影響で当初の日程から変更となっています)。
追っかけはこれからも続きますよ。三重のラグビー、今年も楽しみです。
余談ですが。今年のジュニアの東海大会で見た、三重県中学校選抜の
印象が強かったので、みんな、続けてくれると嬉しいな、なんて。願わくば、
そのまま地元の高校へ進学して・・・・・・。