自分らしさとともに(大槻レフリーへ感謝を込めて)

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07-08シーズン。レフリーの活躍を追いかけよう、そのきっかけを作って
いただいたのが、YMFS(ヤマハスポーツ振興財団)の第一期奨学生として
お会いした大槻卓さん。同じ愛知県ということもあり、トップリーグだけではなく、
地元でおこなわれる試合において、何度もお姿を見てアタックさせていただき、
本当に感謝しています。
トップレフリーへ昇格した1年、そして東南アジア大会でのハプニング。
大槻レフリーの声です。


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(お話は3月20日@瑞穂ラグビー場でお聞きしました)
―― トップレフリーに昇格したシーズンが終わった感想は
大槻さん
「その質問はよく聞かれますね。日本協会の割当は、3月9日に福岡でおこなわれた、
サニックス対マツダのトップリーグ入替戦で終わりました。その時に思ったのは、
”ああ、終わったな”というのが正直な話で表現するのは難しいですが、マラソンに
例えれば完歩ではなく完走できたかなという思いが大きかったですね。
トップリーグを吹く、日本協会公認としてワンシーズンを過ごすことは、当然
初めてであり、力の配分や一週間の過ごし方をどんな風にするといいのか、
いろいろな部分において何もわからないことが多かった。その中で、上手くいかない
こともたくさんあったけど、達成感や満足感があり、何より終わったなという
気持ちですね」
―― 今シーズンは、主審として多くの試合を担当されました
大槻さん
「トップリーグが期間中、基本的にレフリーをやっているかタッチジャッジを
やっていたことは、日本のトップであるトップリーグのほとんどに何らかの形で
マッチオフィシャルとして参加できた証し。これは、日本でレフリーをやっている
人間として非常に光栄だし、来シーズン以降も、こうした形で関われるように
頑張らなければ、という気持ちですね」
―― トップリーグデビュー戦は第3節、岩手のゲームでしたが緊張されましたか
大槻さん
「それも皆さんに言われますけど僕は、基本的にグラウンドでそんなに緊張は
しないタイプ。もちろん全く無いわけではなくいい緊張は持っている、ずっと
そんな感じでやってきました。初めて花園で吹いた時、瑞穂、秩父宮で吹いたとか、
特に初物を含め、自分の心に残る試合はいくつかあります。でも、不思議なことに
右も左もわからなくなるようなことは、ないんですよ。
準備段階において、このゲームはこうなるんじゃないかとか、こうしたいとか。
そういったことは当然考えますけど、現場について基本的にじたばたしたり、
あれこれ考えても仕方がないし、僕は僕でしかないので自分らしくできればいい
のかなという気持ちで、どの試合もグラウンドへ立ちますね」
―― 大槻さんが持つレフリングの信条”自分らしく”の原点ですね
大槻さん
「僕は僕でしかないし、最後に出てくるのは自分らしさ。そこは変えようがない
んですよね。技術として上達するためにいろいろなテクニックを盗むことはできても、
最終的に笛を吹いているのは、僕でいえば”大槻”という人間で、そこは変わらない
ところ。自分らしさを失わないよう、これからもやりたいです」
@第10節、ヤマハ対三菱重工相模原戦にて
―― 今シーズン、苦しいなと感じたことは
大槻さん
「あまりないんですけど、挙げるとすれば移動の幅が広がったことでしょうか。
僕は去年まで関西協会の公認で、試合会場は瑞穂や遠くて花園や神戸ぐらい。
ところが、トップレフリーへ昇格した今シーズンは、東京や岩手、太田、長崎や
福岡というように距離が長くなったことで、改めて移動は疲れると思いましたね。
多くの社会人は、土日休みでリフレッシュして月曜は元気に出勤。でも僕は逆。
月曜が一番元気が無くて、火曜や水曜で何とか持ち直す感じ。とはいえ、週末を
好きなラグビーで過ごせていますから嬉しいことです」
―― シーズン中に何かハプニングはありましたか
大槻さん
「レフリー中のハプニング、僕はそんなにありませんけど、例えば試合中に笛が
どこかへいってしまったりとか、逸話を持っているレフリーの方は結構いらっしゃる
みたいですよ。
僕は、12月に東南アジア大会へ行った時、非常にばたばたしたことがいい経験
になりましたね。まず、向こうのエージェントがチケットを手配するはずだったのに、
出発2日ぐらい前になってもチケットが取れていなかった。その後、何とか取れ
ましたというメールがきたんですけど、じゃあバンコクへ到着し何をしたらいいのか
聞いたら、空港内にデスクがあるからそこへ行ってくれと言われ、とりあえず
わかりましたと。
で、出発の大阪で、空港に着きチケットを発券して下さいと、英語で書かれた紙を
カウンターへ持っていき見せたところ今度は、これでは発券できませんと。
何でかといえば普通は「TAKU OTSUKI」のように名前と名字の間に
ひとつ空白がないとダメらしく、僕の見せた紙は「TAKUOTSUKI」と
なっている。パスポートと見せてもらった紙が違う名前なので、申し訳ないけど
発券できません、という話になったんですよ。そんなこと言われても、僕は
東南アジア大会という試合があって、どうしても行かなければならないので、
何とかして欲しいと頼んだのですがやっぱりダメで。
バンコクへ行く為には、もうこの場で自分がチケットを買うしかないと。いくらに
なるのか計算してきてくださいよと話をしていたら、最終的に偉い人が出てこられ
今回、日本からバンコクへ行く分に関しては私の責任で発券しますが、向こうから
帰ってくる時に発券できるかどうかの責任は持てませんからと言われ、ようやく
発券してもらうことができ、何とかバンコクへ旅立ち、帰りは、カウンターの
方があれっ?という顔をしていましたが、何事もなく発券してもらえました。
バンコクへ到着してからも珍道中で、いろいろあったという意味でいえば、
このタイツアーがハプニングに当たるのかなと。誰もいなく本当にひとりでしたから」
―― 充実感や手応えを感じたと思うところは
大槻さん
「充実感については、どの試合もありましたね。手応えを感じたという部分で言えば
少なくとも昨年よりは自分が担当したゲームのカテゴリーが上がっている。ここは、
よかったかなと思います」
―― 新しいシーズンへ向けての意気込みをお願いします
大槻さん
「僕らも選手と同じで上達したいなという気持ちがあり、来年度も今シーズン以上に
トップリーグを担当するというのが数字的な意味での目標にはなるかなと。
今年は5試合で笛を吹いた。来シーズンにこれより少なかったら、僕の努力不足
だろうし、そういう部分にはこだわってやっていきたいなと思います」
大槻レフリー、今シーズン本当にありがとうございました。
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同じ愛知県在住ということもあり、大槻さんには本当にお世話になり、本当に
感謝しています。
大槻さんのほのぼのとした温かさと、少ない言葉に込める想い。また周りのから
受ける多くのサポートは、大槻さんの優しい人柄、そして自分らしさを失わない
ところ。そこに魅力があるのではと思っています。
自分らしさとともに経験を積み上げ成長されていく姿を、来シーズンも温かく
見守っていきたいです。
@東海選抜大会
大槻さんをはじめ、東海地区のレフリーの皆様には本当にお世話になりました。
それプラス、各試合会場でアタックを受けていただいたレフリーの皆様、本当に
ありがとうござました。
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【シーズンの最後に】
選手、レフリー、観客、そしてラグビーを支える皆様の姿とともに、来シーズンも
グラウンドから愛を込めて伝えていきたい。それが、来シーズンに向けた私の
目標。
支えていただいた皆様に感謝の気持ちを込め、07-08シーズンが終了。
明日(もう今日ですが)は、磐田でヤマハジュビロ新入団会見。新しいシーズンの
始まりです!

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