過去を振り返ることなく前へ進み続ける中でも、節目と思えた試合があった。
今回の日本選抜を率いたキャプテン、伊藤選手はリコーブラックラムズ所属。
私は昨シーズン、秩父宮にて行われたトップリーグ対九州電力戦の試合後、
「現実を受け入れるのに、時間を下さい」とうつむきながら言葉を繋ぐ伊藤選手の
表情が強く心に残っていた。
同じく、日本選抜のバイスキャプテンを務めた高選手はIBM所属。昨シーズン、
花園にておこなわれたヤマハ戦の試合後、言葉少なく会見に臨む様子からは
勝負の厳しさを感じた。この光景も私の中にズシンと印象として残っていた。
この時、チームを率いるキャプテンふたりに共通し思ったのは
「どんな時でも顔を上げて欲しい」と。
それから約半年。幾多の試練や思いを乗り越えたふたりは、国立のピッチで
しっかりと顔を上げ前を向き走り続けていた。チームの勝利のため、仲間の
ため、そして彼らを支えている人達のために。
試合後の会見で、日本選抜を率いた薫田監督から、
「優秀なキャプテンだった」との言葉を投げかけられ、少しはにかんだような
笑顔を見せてくれた伊藤選手。
自チームへ戻り、次は熾烈なトップイーストでの戦いが待っている。
これから歩む道、苦しくて下を向きたくなることもあるはず。
でも、うつむいた姿より、顔を上げ前を向いた姿を見たい。
それが、次への希望に繋がるとファンは信じているから。
この日の勝利で見せてくれた笑顔、自チームへ戻りプレーする次の試合に
おいても見ることができますように、願っています。